○井手町文化財保護条例
平成7年3月31日
条例第2号
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、井手町(以下「町」という。)の区域内に存する文化財のうち、町にとって重要なものについて、その保存及び活用を図り、もって町民の文化的向上及び地域文化の発展に資することを目的とする。
(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、古文書その他の有形の文化的所産で町にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他学術上価値の高い歴史資料(有形文化財)
(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で町にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(無形文化財)
(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗習慣、民俗芸能及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で町民の生活の推移の理解のために欠くことのできないもの(民俗文化財)
(4) 貝塚、古墳、寺跡、旧宅その他の遺跡で町にとって歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷その他の名所地で町にとって芸術上又は鑑賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然現象の生じている土地を含む。)で学術上価値の高いもの(史跡名勝天然記念物)
(町の責務)
第3条 町は、文化財が町の歴史、文化又は自然の正しい理解のために欠くことのできないものであり、かつ、現在及び将来にわたり町民の文化及び地域の文化の向上発展の基礎をなすものであることを認識し、その保存及び活用が適切に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
(町民、所有者等の心構え)
第4条 町民は、町がこの条例の目的を達成するために行う措置に誠実に協力しなければならない。
2 文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な町民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できる限りこれを公開するなど文化財の活用に努めなければならない。
(財産権の尊重及び他の公益との調整)
第5条 町は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
第2章 町指定文化財
(指定)
第6条 井手町教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、町の区域内に存する文化財(法又は府条例の規定に基づき指定された文化財を除く。)のうち町にとって重要なものを井手町指定文化財(以下「町指定文化財」という。)に指定することができる。
2 前項の規定による指定をするには、教育委員会は、あらかじめ指定しようとする文化財の所有者(無形文化財については教育委員会の認定した保持者)及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。
3 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該町指定文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知するものとする。
5 第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は当該町指定文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。
(解除)
第7条 教育委員会は、町指定文化財が次の各号の一に該当するときは、その指定を解除することができる。
(1) 町指定文化財として価値を失ったとき。
(2) 国又は府の指定を受けたとき。
3 所有者は、前項の通知を受けたときは、30日以内に当該町指定文化財の指定書を教育委員会に返付しなければならない。
(所有者の管理義務及び管理責任者)
第8条 町指定文化財の所有者は、この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、町指定文化財を管理しなければならない。
2 町指定文化財の所有者は、特別の事情があるときは、専ら自己に代わり当該町指定文化財の管理の責めに任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。
3 所有者は、前項の規定により管理責任者を選任したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任し、又は変更したときも同様とする。
4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。
(所有者の変更等)
第9条 所有者の変更により新たに所有者になった者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 所有者又は管理責任者は、その氏名又は住所を変更したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(管理団体による管理)
第10条 町指定文化財につき、所有者が判明しない場合又は所有者若しくは管理責任者による管理が著しく困難若しくは不適当であると明らかに認められる場合には、教育委員会は、区その他適当と認める団体(以下この条において「区等」という。)を指定して、当該町指定文化財の保存のために必要な管理(当該町指定文化財の保存のため必要な施設、設備その他の物件で当該町指定文化財の所有者の所有又は管理に属するものの管理を含む。)を行わせることができる。
2 前項の規定による指定をするには、教育委員会は、あらかじめ当該町指定文化財の所有者(所有者が判明しないときを除く。)及び権原に基づく占有者並びに指定しようとする区等の同意を得なければならない。
5 管理団体には、第8条第1項の規定を準用する。
(管理団体の解除)
第11条 教育委員会は、前条第1項に規定する事由が消滅した場合その他特殊の事由がある場合は、管理団体の指定を解除することができる。
(管理団体による管理費用の負担)
第12条 管理団体が行う管理に要する費用は、この条例に特別の定めのある場合を除いて、当該管理団体の負担とする。
2 前項の規定は、管理団体と所有者との協議により、管理団体が行う管理により所有者の受ける利益の限度において、管理に要する費用の一部を所有者の負担とすることを妨げるものではない。
(滅失、き損等)
第13条 所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、そのもの)は、町指定文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、その事実を知った日から10日以内にその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(所在の変更)
第14条 町指定文化財の所在の場所を変更しようとするときは、所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、そのもの)は、所在の場所を変更しようとする日の20日前までにその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、教育委員会規則の定める場合には、届出を要せず、又は所在の場所を変更した後届け出ることをもって足りる。
(管理団体による修理)
第15条 町指定文化財の修理は、所有者が行うものとする。ただし、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。
2 管理団体が修理を行う場合は、管理団体は、あらかじめその修理の方法及び時期について当該町指定文化財の所有者(所有者が判明しないときを除く。)及び権原に基づく占有者の意見を聴かなければならない。
(管理又は修理の補助)
第16条 町は、町指定文化財の管理又は修理につき多額の費用を要し、町指定文化財の所有者又は管理団体がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、当該所有者又は管理団体に対し、予算の範囲内において、費用の一部を補助することができる。
2 前項の規定により費用の一部を補助する場合には、教育委員会は、その補助の条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該管理又は修理について指揮監督することができる。
(管理又は修理に関する勧告)
第17条 教育委員会は、町指定文化財の管理が適当でないため、当該町指定文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、所有者、管理責任者又は管理団体に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。
2 教育委員会は、町指定文化財がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、所有者又は管理団体に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。
3 町は、前2項の規定による勧告に基づいてする措置又は修理に要する費用について、予算の範囲内において、全部又は一部を負担することができる。
(現状変更等の制限)
第18条 町指定文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置をとる場合、保存に影響を及ぼす行為については影響が軽微である場合は、この限りではない。
(修理等の届出等)
第19条 所有者又は管理団体は、町指定文化財を修理しようとするときは、修理に着手しようとする日の30日前までにその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、前条第1項に規定する許可を受けなければならない場合その他別に定める場合は、この限りでない。
2 教育委員会は、町指定文化財の保護上必要があると認めるときは、前項の届出に係る修理に関し指導又は助言をすることができる。
(公開)
第20条 教育委員会は、町指定文化財の所有者又は管理団体に対し、当該町指定文化財の公開又は出品を勧告することができる。
2 町は、前項の規定による公開又は出品のために要する費用について、予算の範囲内において、全部又は一部を負担することができる。
3 町は、第1項の規定により公開し又は出品したことに起因して当該町指定文化財が滅失し、又はき損したときは、町指定文化財の所有者又は管理団体に対し、その通常生ずべき損失を補償する。ただし、所有者、管理責任者又は管理団体の責めに帰すべき事由によって滅失し、又はき損したときは、この限りでない。
4 教育委員会は、町指定文化財の保護上必要があると認めるときは、第1項の規定による公開及び当該公開に係る町指定文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。
(報告の徴収)
第21条 教育委員会は、必要があると認めるときは、所有者、管理責任者又は管理団体に対し、当該町指定文化財の現状又は管理若しくは修理の状況について報告を求めることができる。
(権利義務の承継)
第22条 所有者の変更により新たに所有者となった者は、この条例の規定により教育委員会が行った勧告、指示その他の処分による当該所有者でなくなった者の権利及び義務を承継する。
2 前項の場合には、旧所有者は、当該町指定文化財の引渡しと同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。
第3章 町指定文化財等の環境保全
第23条 教育委員会は、この条例の規定により指定された文化財等について、その保存のため必要があると認めるときは、所有者(管理責任者又は管理団体があるときは、そのもの)に対し、文化財の環境保全について必要な措置をとるべきことを指示することができる。
第4章 埋蔵文化財
(埋蔵文化財に関する責務)
第24条 教育委員会は、町の区域内に存する埋蔵文化財包蔵地の周知徹底を図り、土木工事等によって当該周知の埋蔵文化財包蔵地が損傷し、又は出土遺物が散逸等をしないよう所有者その他関係者に適切な指導及び助言をするなどその防止に努めなければならない。
2 何人も、埋蔵文化財を発見したときは、当該埋蔵文化財の損傷等の防止に努め、また、教育委員会が行う埋蔵文化財の発掘調査に協力するよう努めなければならない。
第5章 井手町文化財保護審議会
(設置)
第25条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、教育委員会に井手町文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(所掌事務)
第26条 審議会は、教育委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関する重要事項について調査審議し、教育委員会に答申又は建議する。
(組織)
第27条 審議会は、委員10人以内で組織する。
2 委員は、文化財の保存及び活用に関し学識経験を有する者その他適当と認める者のうちから、教育委員会が委嘱する。
(委員の任期)
第28条 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
2 委員に欠員が生じたときは、補欠の委員をおくことができる。ただし、任期は前任者の残任期間とする。
(会長)
第29条 審議会に会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 会長は、会務を総理する。
3 会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。
(会議)
第30条 審議会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。
2 審議会の会議は、委員の過半数の出席がなければ開くことができない。
(庶務)
第31条 審議会の庶務は、教育委員会社会教育課において処理する。
第6章 補則
(教育委員会規則への委任)
第32条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。
附則
この条例は、平成7年4月1日から施行する。